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京大情報学研究科の談話会で講演してきました

日記です。先週金曜の話ですが、京都大学情報学研究科の通信情報システム専攻で毎週開かれている談話会で講演をしてきました。講演では機械学習とかディープラーニングとか強化学習の基礎や最近の話を結構カジュアルに話しました。もちろんですが趣味ではなく仕事として出張で行ったので、会社の採用活動的な要素も兼ねています。
通信情報システム専攻 2016年度談話会の概要
経緯としては、今年の2月に元出身研究室の助教の先生から何か話せないかとメールで連絡が来たのがきっかけでした。何を話すかについては結構悩んだのですが、結局昨今のAIブームで注目度のそれなりにありそうで、かつ自分もそれなりに取り組んだディープラーニングがいいだろうということでそれをテーマにしました。しかし具体的にどのようなメッセージを残すのかについては幾分悩みました。僕はかつてこの専攻に居たので知っていたのですが、この専攻では機械学習を研究でやっている人というのは一部を除いてほとんどいません。実際に講義中に聞いてみたのですが、機械学習を講義ですら習ったことの無い学生の方々が大半だったようです。情報学科以外の出身者が多分半数以上占めているのでそんなもんかもしれませんが、少し驚きました。専門でやっているわけでもない人に「AI流行ってるからAIやろうぜ」みたいなことを言ってもなんかいまいちだろうと思ったので、無理やりでっち上げた感じではありますが以下のようなことをメッセージに上げました。

  • ディープラーニングはブームの始まりから数年が経ったが今でも進展を遂げている。
  • 環境をセットアップして実験を行うことは以前に比べるとだいぶ容易になっている。実際に実験すれば、良い点も悪い点も見えてくる。極端な例だが、非専門家が1~2ヶ月ですごいサービスを作った例もある。
  • ディープラーニングみたいな技術を実際に使えるものにするためにはそれ単体ではだめで、様々な技術が統合される必要がある。

分野にやんわりと誘いつつ、今皆さんのやっていることも大事なんですと言って敬意を払うといった風でしょうか。
あと雑談レベルですが以下のようなことも話しました。

  • 実際に何か実験することが大事で、講演だけ聞いてても多分あまりわかるようにならない。
  • (自己紹介のときに)進路決めには色んな葛藤が伴ったけど、グダグダしているうちに成り行きで決まった。
  • これは僕が勝手に思っているだけのことかもしれませんが。思考の方法として、ボトムアップ的なものとトップダウン的なものがあると思う。僕はボトムアップ的なものは好きだったけど、トップダウン的なものはそんなに得意ではなかった。コンピュータ科学は結構ボトムアップ的なものが多いと思う。例えばCPUの設計ならまずは論理回路や順序回路のようなプリミティブなものから入って単純な演算器を作り、それらを複雑に組み合わせてCPUを作り。さらに色んな最適化も考えるといった具合で。各種分野の数学も、基本的な定義から入って簡単な命題を導出し、補題、定理、と非自明な結果を積み重ねていく。パターン認識のような問題はちょっと雰囲気が違う。例えば人間の認知のシステムは何らかの仕組みで上手く動いているが、中の仕組みが分からない。最初に巨大なブラックボックスが与えられていて、それをなんとか理解できるところまで分解していく。ディープラーニングはまさに突然謎のモデルがどこかからやってきて、何が起きているのかを実験から推論しなければならない、といった感じだったと思う。トップダウン的な感じがする。それの裏付けと言っていいのか分からないが、機械学習やデータ分析には情報系分野意外にも物理など別分野出身の人が多い。そういう理由もあってなのかどうなのか、自分は働きはじめてこの分野に慣れるまで比較的時間がかかった方だと思う。

あとは、「大学院に居る頃は専門の分野に取り組むだけで手一杯だけど、今重要とみなされている分野に(研究にはならないとしても)多少手を出しておくと、今後活動する上でのヒントになるかもしれない」といったことも口頭で言おうかと思っていたのですが完全に失念していました。しかしこれは結構ポジショントーク的なので言わなくてよかったのかもしれません。

日帰りだったので居たのは一瞬でしたが、春の京都は自分を初心(大学に入学したばかりの頃とかの気持ち)に帰らせてくれるのでとても良かったです。